骨粗鬆症は、骨の密度(量)や質が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。「サイレントディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれ、骨折が起きるまで自覚症状が出にくいことが特徴です。日本では推計1,300万人以上が罹患していると言われており、特に閉経後の女性に多くみられます。骨粗鬆症は適切な予防と治療によって骨折リスクを低下させることが期待できるため、早めの対策が重要です。

骨粗鬆症とはどんな病気か

食事・栄養のイメージ

骨は常に「骨形成(骨を作る)」と「骨吸収(骨を壊す)」を繰り返すことで新陳代謝(骨のリモデリング)を行っています。骨粗鬆症は、この骨形成と骨吸収のバランスが崩れ、骨吸収が上回ることで骨量が減少し、骨の内部構造が粗くなった状態です。

骨量は20〜30代にピークを迎え、その後は加齢とともに少しずつ低下していきます。女性では閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下により骨吸収が促進されるため、骨量の減少が加速しやすい傾向があります。

骨粗鬆症自体による痛みはほとんどありませんが、骨折が起きると急激な痛みや機能障害が生じます。特に「骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折」は、転倒や軽微な外力でも起こりやすく、要介護状態につながるリスクもあります。

骨粗鬆症のリスク因子

骨粗鬆症の発症リスクを高める要因は複数あります。以下に代表的なものをご紹介します。

変えられないリスク因子

  • 年齢:加齢とともに骨量は低下します
  • 性別:女性は男性に比べて骨量のピーク値が低く、閉経後の低下も速い傾向があります
  • 閉経:女性ホルモン(エストロゲン)の減少が骨吸収を促進します
  • 家族歴:親に骨粗鬆症や骨折歴がある場合はリスクが高まることがあります

生活習慣・栄養に関するリスク因子

  • カルシウム・ビタミンD不足:骨の主成分であるカルシウムとその吸収を助けるビタミンDの不足は、骨形成に影響します
  • 運動不足:適度な荷重運動は骨に刺激を与え、骨量維持に役立つとされています
  • 過度のアルコール摂取・喫煙:いずれも骨量低下と関連があるとされています
  • 過度なダイエット・低栄養:極端な体重減少や低体重は骨粗鬆症のリスク因子となります

疾患・薬剤によるリスク

  • 糖尿病・慢性腎臓病・甲状腺疾患などの全身疾患
  • 副腎皮質ステロイド薬の長期服用(ステロイド性骨粗鬆症)

骨密度検査について

骨粗鬆症は自覚症状が乏しいため、骨密度検査(BMD検査)が診断の基本となります。

DXA(二重エネルギーX線吸収法)

最も精度が高いとされる骨密度測定法で、主に腰椎(腰の骨)と大腿骨近位部(股関節付近)で測定します。被曝量は非常に少なく、安全性の高い検査です。

超音波法・末梢骨DXA

かかとや前腕で測定する簡易的な方法で、検診などで用いられることがあります。

検査結果の見方

骨密度の結果は「YAM(若年成人平均値)」に対する割合で示されます。YAMの70%未満が骨粗鬆症の診断基準の一つとされています(他の臨床的要素と合わせて総合診断されます)。

検査を受けるタイミングの目安

  • 閉経後の女性
  • 65歳以上の方
  • 背中が丸くなった・身長が低くなったと感じる方
  • 軽い転倒で骨折したことがある方
  • 長期間ステロイド薬を服用している方

食事と運動による予防法

カルシウムを積極的に摂る

骨の主成分であるカルシウムは、食事からの摂取が基本です。成人では1日700〜800mgを目安に摂取することが推奨されています。カルシウムを多く含む食品には、乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)・大豆製品(豆腐・納豆)・小魚・青菜類(小松菜・ブロッコリーなど)があります。

ビタミンDを補う

ビタミンDはカルシウムの腸管吸収を助け、骨の形成を促す働きがあります。日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも合成されます。食品では、鮭・サンマ・イワシなどの魚類や、干しシイタケ・卵などに多く含まれます。

ビタミンKも意識する

ビタミンKは骨タンパク質の生成に関与し、骨の質の維持に役立つとされています。納豆・緑黄色野菜などに多く含まれます。

適度な運動

骨に適度な荷重(体重)をかける運動は、骨形成を刺激して骨量の維持に役立つとされています。ウォーキング・軽いジョギング・踏み台昇降などが代表的です。一方で、転倒リスクを高める激しい運動は注意が必要です。バランスを鍛える運動(片足立ちなど)も転倒予防に役立つとされています。

薬物療法と骨折との関係

薬物療法の概要

骨粗鬆症の薬物療法は、骨密度や骨折リスクの評価に基づいて医師が方針を決定します。以下は一般的な情報です。

  • ビスホスホネート製剤:骨吸収を抑制することで骨密度の低下を防ぐ効果が期待される、最も広く使用されているグループの一つです。週1回・月1回・年1回など投与間隔の異なる製剤があります。
  • SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬):閉経後女性において、骨に対してエストロゲン様の作用を発揮し骨量低下を抑制します。
  • 抗RANKL抗体(デノスマブ):骨吸収を促進する物質(RANKL)を阻害する注射製剤です。6か月に1回の皮下注射で用いられます。
  • 副甲状腺ホルモン薬(テリパラチド等):骨形成を促進する薬で、重症の骨粗鬆症や骨折後に使用されることがあります。
  • カルシウム・ビタミンD製剤:食事からの摂取が不十分な場合、補助的に使用されることがあります。

骨粗鬆症骨折(脆弱性骨折)について

骨粗鬆症が進行すると、軽い転倒や日常動作でも骨折が起こりやすくなります。特に多いのは、椎体骨折(背骨の圧迫骨折)・大腿骨近位部骨折(股関節付近)・橈骨遠位端骨折(手首)・上腕骨近位部骨折(肩付近)です。

なかでも大腿骨近位部骨折(いわゆる「股関節の骨折」)は、高齢者において寝たきりのきっかけになることがあるとされています。骨粗鬆症の早期発見・治療と、転倒予防を合わせて取り組むことが重要です。

新宿東整形外科では骨密度検査(DXA法)に対応しております。「骨が心配」「健診で骨密度が低いと言われた」という方は、まずお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状についてはかかりつけの医師にご相談ください。